パーティシペーションと楽曲入れ替えのお話


発表のたびに騒ぎになるjubeat saucerの楽曲入れ替え制について整理してみたいと思います。
これを読んで騒ぐのをやめろと言いたいわけでもないのですが、なにかしらの得るものがあれば、思います。



e-AMUSEMENT Participationについて


さて、まずはじめに押さえておかなければいけないのはe-AMUSEMENT Participation(以下eap)です。「コナミ税」という言葉で理解してる人も多いとは思いますが、そう単純な話でもないのです。
KONAMIが最初にeapを導入したのは麻雀格闘倶楽部で、そのときの告知ページがこちら
音ゲーの場合であれば100円につき30円前後が基本的なコナミの取り分らしいです。ちなみに一般的にはレベニューシェア方式と呼ばれ、セガタイトーなども採用しています。


eapによるオペレーター側から見たメリットデメリットはざっとこんなものが予想されます。

メリット

  • 筐体価格が下がり*1導入や増台が容易になる
  • 継続的なアップデートがあるためコナミ次第ではあるもののユーザーが離れづらい?

デメリット

  • 1クレジット辺りの売り上げが下がる*2
  • 設定の幅が狭まる*3
  • オフライン状態での稼働ができない


コナミ側ユーザー側のメリットデメリットについては比較的予想がしやすいのでここでは省略します。



なぜ曲を消す必要があるのか?


継続的な曲追加やイベントを行うと宣言していること、オフライン状態での稼働ができないためバージョンアップを行わない場合はサービスが終了してしまうと起動すら不可能なことから考えて、従来のようなパッケージの販売ではなく、今後はネットワーク経由のバージョンアップですべてを賄う可能性が高いです。
今まではおよそ年に一度の新作稼働時が一番大きな変化と追加だったわけですが、全体のボリュームをアップさせつつそれを小出しに分散させていくということですね。
eap方式でのバージョンアップの際に店側にどのような費用が発生するのか、データの引継ぎやGATEのサービスなどはどうなっていくのかなどは不明ですが、IIDXの筐体トップのパネルがプラ板にプリントしたものから紙を挟むだけのものに変更になっている点など、キットの簡略化または廃止の気配もあります。
もちろんこれは予想にすぎないので、今後の動向に注目していきたいところです。


ポイントは単なる楽曲追加やイベントの増加だけではなく、今まで新作稼働時にやっていた大きな変更を分散させるところであると思います。
そろそろ話が見えてきたかもしれませんが、jubeat saucerの月ごとに「やり込みイベント」がリセットされて新しいものになり、楽曲の入れ替えが行われているのはまさにその分散ですね。
いきなり全機種でやるのもなかなかむずかしいでしょうから、比較的歴史が浅くなおかつユーザー数の多いjubeatでまずは実験しているのかもしれません。


そんなこと言ったって曲が消えるのは嫌だ、というのはもっともな話で、jubeatにおいて曲を消すことにどんな理由あるいは目的について考えてみます。

  1. 版権料などの期限に関する問題や権利者とのなんらかの対立など、いわゆる大人の事情。
  2. 容量の問題。今の時点ではほとんど問題はなくとも、今後すべてのアップデートをネットワーク経由にするならば避けられない問題かもしれません。
  3. 一旦削除することによって、削除前にプレーしよう、復活したならプレーしようという価値の創出。今のところどうもあまり効果が出てないようにも思いますが。
  4. ゲームバランスの調整。


1番目はケースバイケースな上に比較的どうしようもないものなのでとりあえず置いておきます。おそらく4番目のゲームバランス調整が大きな理由であると考えられます。


そもそもjubeatにはいわゆる全解禁がなく、前作までの隠し曲が新作で自動的に解禁しないゲームでした。これは出し惜しみという側面もあると思いますが、初心者の選曲画面を繁雑にしないという狙いもあるように思います。
また、ゲームの重要な要素としてマッチングがあります。jubeatは同楽曲別譜面でもマッチングできることから、対戦要素よりもSAVEによるステージ保証や伝導などのユーザー同士の交流に重きを置いているのでしょう(グループや大会やコミュログなどの機能もその一環でしょうか)。
以上の二点が重要なjubeatにとっては楽曲数の肥大化にはデメリットもあるのだと考えられます。
この部分のバランスを調整するための楽曲削除なのかもしれません。


現状の課題としては、

  • 復活時よりに削除時の方が反響が大きいことや
  • 楽曲入れ替えとTotal Best Scoreシステムの相性が悪いこと
  • 楽曲の絞り込みやソート機能の強化
  • おすすめやフルコンチャレンジが選曲画面煩雑化やマッチングしづらさの問題の抜本的な解決になっていない

などでしょうか。


入れ替え曲数やタイミングなどがもう少しこなれてくるとバランスがよくなってくるかもしれません。
単に削除と言ってもいろいろと理由があってやっているのではないか、というお話でした。





*1:およそ40%オフ

copious
価格(本体) \980,000(税別)
価格(改造キット) \248,000(税別)

saucer
価格(本体) \598,000(税別)
価格(改造キット) \148,000(税別)

*2:維持費用の一切を無視して考えた場合、9800クレジットで回収できた筐体費用が8543クレジットで回収できる計算になっています。
それ以降の1クレジットごとでの店の売り上げは当然以前より少なく、累計10680クレジットを超えたところで従来の方式の方が利益が出ることになります。

*3:フリープレイやクレジットサービスに対してもコナミの取り分が発生する。
コインでの曲数がjubeatの場合であれば1トークン3曲固定、ポップンであれば4+1が上限に(従来は6+1が上限)