漫画会まとめ
今回は参加者が一冊ずつ選んだ本をあらかじめ読んできて語るというスタイルでやりました。
ただプッシュしたい漫画を選ぶのではなくて、賛否両論になりそうなもの、語りあってみたいものを選ぶ感じで、というお題です。
そんなわけで、あれこれ脱線しながらも以下の四作品について四時間半にわたる語りあいとなりました。
特にネタバレとか気にしないで書くので、そういうの嫌いな人は読まない方がいいと思います。
- 作者: きづきあきら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/07/28
- メディア: コミック
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いわゆる「コミュ障」、「メンヘラ」、「空気読めないやつ」のような、ひと癖あるというよりはむしろはみ出しものの集まりの漫研で部誌を作ろうと奮闘する主人公と、彼らを引っかき回して甘えた夢を壊してやろうとするヒロインが出てくる話です。
『G戦場ヘブンズドア』や『げんしけん』などと時期的にも題材的にも重なる「新まんが道」的な作品でもあります。
掲載誌の廃刊で未完のまま連載終了したものが、120Pの加筆という条件で完全版として完結したという経緯もあり、ラストまでの駆け足の展開などが少しもったいなかったという感想もありました。
ただ、第一話の引き込み方のうまさや、脇キャラの動き方、デフォルメされた痛いオタク像の刺さり方などはかなりガツンと来るものがあると思います。
個人的には「主人公にどこかエロゲーの主人公っぽさがあるのは狙ったデフォルメなのかも?」という意見がおもしろかったです。後半でかなり主人公の影が薄くなってしまうので、そのせいでそういう印象があるのかもしれないですが。
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2011/03/17
- メディア: 単行本
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自薦しました。
中学生の男女がセックスしたりしなかったりして大人になったりならなかったりする話です。『ヨイコノミライ』が「リアルなものをデフォルメしたファンタジー」なのだとしたら、こちらは対極に当たる「幻想的なものをリアルとして描いたもの」というの意見はなるほど、という感じ。
完全に予想通り、浅野いにお作品の「鼻につく感じ」や「しゃらくささ」といった作家個人への語りに展開する感じでした。あの大学生が好むビレバンっぽさ、どこかむかつく感じは狙ってるというよりは、自然なセンスから来る(ある種時代の寵児的にも思える)ものなのでは、という感覚が共有できたのはかなりおもしろかったです。
ただ僕は別に浅野いにお批判(あるいは賞賛)がしたくてこれを選んだわけではなくて、むしろ最近の浅野いにお作品ってすごくおもしろいんだよという感じで持っていきました。普段人には見せない「孤独な自分」とみんなの前で見せる「空気読める自分」というふたつの人格の間で揺れ動く思春期のあの感じ、「孤独な自分」を共有する主人公とヒロイン、「普通なやつ」を演じるラスト、最近の『おやすみプンプン』とも重なる「呪われた」というキーワードなど、かなり見どころのある漫画だと思います。
- 作者: 室井大資
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/10/15
- メディア: コミック
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重いメンヘラだらけの漫画が集まった中、僕らの心のオアシスとなってくれたシュールギャグ漫画です。ギャグの解説をすることほどつまらない行為もないですが、笑いどころであからさまに大ゴマや巨大な書き文字を使わない絶妙の塩梅が安心感あります。
ちょっとメッセージ性のあるような展開がないこともないんですが、それもさらっとギャグの陰に置く感じでいやらしくないんですね。ギャグ漫画ってどうしても暴走やノリの変化なんかが気になりがちなんですけど、そういう意味ではこの作品はブレない、あるいはいいブレ方をしてくれるだろうって感じがします。
- 作者: ひぐちアサ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/06/20
- メディア: コミック
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おお振りの作者の漫画ですが、個人的には今回一番重かったです。
主人公は悪女というかメンヘラというか、そういうちょっとクセのあるサークルの先輩と複雑な家庭環境の従妹の二人の女性に振り回されたり真摯に向き合ったりする主人公の話です。
「そう育った」こととどう対峙するかということ、本当にしんどいどうしようもない出来事を「やりすごせるかどうかは運」だということ。そういうどこかに悪者がいるんでもないような問題に真正面から取り組んで、安易な答えを出さない鋭さのある作品でした。
読み終えたあとにタイトルを見返して、グッとくる感じの作品ってところもいいですね。
抽象的な会話が理解しづらくて、取っかかりを見つけるのがどうにもむずかしかったんですが、きっと何度も再読することになるだろう、と予感しています。
まとめ
意図したわけではないんですが、人との距離感の微妙さや誰かとの関係が呪縛のように残り続けるようなニュアンスの漫画が集まったような気がします。
なかなかヘビーでしたが、とても楽しい会でした。
その他、おすすめとして挙がった漫画など
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/04
- メディア: コミック
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- 作者: 海堂尊,高遠るい
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2009/02/21
- メディア: コミック
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- 作者: 米田達郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: コミック
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- 作者: 矢寺圭太
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/23
- メディア: コミック
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- 作者: 売野機子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/03/09
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- 作者: もみじ拓
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/07/23
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