大学生1

例のうるさくてろくに話もできない、安さだけが取り柄の居酒屋でもう解散してしまったサークルの仲間たちと飲んできた。
普段は簡単な言葉でかんどころを損なわないよう意識しているつもりだけど、そういう言葉を選ばずにあらゆる問題について話せる関係というのは痛快で気楽で、たまにはこういうのもなきゃねという感じだった。面倒くさい話(と僕は呼んでいる)を気兼ねなくし合う相手に飢えていたのか、とにかくしゃべり倒してしゃべり倒されてきた。酒のせいもあるのか、喉が軽く涸れて心地がいい。


まことに遺憾ながら僕の学生生活はまだしばらく続く予定なのだけど、もうサークル活動などはしないだろうからこのブログで少しずつ思い出話でもしていこうかと思う。


僕は都合三つのサークルに顔を出してみたりフェードアウトしてみたりをしていたのだけど、まずは今日集まったひとつ目のサークルの話をしよう。
そのサークルは、畑を問わずに芸術や思想のようなものに興味のあるやつらで集まろうというような趣旨で同じ学部のやつが立ち上げたものだった。結局ほとんど一代限りで終わってしまったのだけど、とにかくいろんなやつがいて退屈しないという点については間違いがなかった。写真家、詩人、役者、演出家、音楽家、パントマイム、噺家となんでも揃ってたけど、チャラチャラしたやつはいなくて、みんな切実で本気だったように思う。インスタレーションや芝居の音楽を担当したり会誌に小説を書いたり、なぜだか僕まで芝居に出たりと、ずいぶんいろんな経験をした。今は、院に進んだり、アルバイトをしながら役者をしていたり、休学していたり、至極真っ当な職についていたりと、いかにもなそれぞれの暮らしをしているようだった。
大学の仲間というような言い方をすると、他のサークルやゼミの同期ではなく真っ先に彼らの顔が浮かぶ。つくづくいい巡り合わせをしたものだと思う。