夏だ!SFを読もう!

夏といえばタイムトラベル、夏といえばUFO、夏といえば猫。
ということで夏といえばSFです。
盆を過ぎてもまだ夏です。


なんか最近「あ、これからSFに入るのもよさそうだなぁ」とか思うことが多いので、偉そうにおすすめとかしちゃおうかと思います。
SFって言ったら宇宙船で火星人でスペースオペラでタイムマシンでロボットで……みたいなイメージがわりとあると思うんだけど、それはほんの一部でそれはそれは楽しいものなんだよねそうだよね、って話を紅茶でもしばきながら誰かとうんうんやりたいので、うんうんしたい同士を増やすために書きます。



夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)


これからSFに入ったって人がたぶんすごく多い一冊。時間SFってやつです。
アメリカ・オブ・アメリカな大団円に超加速で収束していく感じが最高です。
バッカーノ!とかシュタインズゲートみたいなのが好きな人はきっと好き。
SF小説というより猫小説かもしれない。
猫が出てくるSFはすべてこれのオマージュと言っても過言ではないかも。猫だよ。


アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)


これもたぶん有名ですね。猫と来たら次はネズミってことで。
実験的な治療で知恵遅れから一転、超天才に生まれ変わる主人公とネズミのお話です。
主人公の変化と同時に文体まで変わるのでひとつの大きな起伏をなぞるような構成になっていてとても読みやすいです。
泣ける話的な紹介をされることが多いですけど、まあ泣くね。たぶんきっと必ず泣くよ。



動物ネタが続きますね。
これは星の大海を舞台に描かれる破天荒で壮大な復讐の物語ってところです。
粗野で愚かな男が復讐のために知性と教養と金と女を手にし、牙を研いだ虎となる。その過程が素晴らしくワクワクします。
巌窟王(モンテ・クリスト伯)を下敷きに書かれてるんですが、物語そのものだけでなくものすごい疾走感もデュマそのままです。
一文字足りともあなたを飽きさせない一冊だと思います。


海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA)


洋物長編が続きましたけど、これは和製の短篇集です。
胸が締め付けられるような恋愛ものからミステリーめいた緊迫したものまでが、複雑奇妙な世界を舞台に描かれます。
なんといっても僕は表題作の『海を見る人』が好きです。
夏祭りの夜に少年は少女に出会い一年後の再開を約束するのですが、少女の村での一年は少年の村での百年に相当するというお話です。思い出して書いているだけでため息が出そう。
こんなのもSFなんだ!と何度も驚くであろう素晴らしい一冊です。


サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)


片田舎で暇を持て余しながら、「未来に見放された」、「どこへも行けない」と感じる少年たちがたった3秒先へと跳躍した少女の謎を解き明かそうと夏を駆け抜けるお話です。
地方で思春期を過ごした人にはどこかグッと来るところがあるんじゃないかと思います。地方都市の妙な閉塞感というか。
作中で語られる近い未来へのいくつものビジョンもとても刺激的です。ここに書かれたことがいくつ現実になるんだろう、と僕はワクワクしています。
時間SFをいくつか今までに読んだことのある人にとってはニヤニヤする要素が詰まっているし、逆に時間SFのブックガイドにもなると思います。
わりと新しめなので迷ったけど、夏ということで入れました。





ということで五冊でした。
どれもきっとSFを読んだことあるなしに関わらず間違いない小説です。
あれがないじゃねーかこれがないじゃねーかというのは僕の好みと不勉強のせい、ということで容赦してください。