人妻と稲妻


「人妻DJイベントをやりたいので人妻DJな知り合いがいたらぜひ紹介してください!」というリツイートを見かけてなかなかに衝撃を受けた。
人妻DJと来たか。
半ば冗談のように適当な言葉と組み合わせることができる人妻とDJがついにひとつになったわけである。
人妻好きの諸氏に置かれましてはこのイベントの動向について細大漏らさず把握しておくとよろしいのではないでしょうか。
僕自身は人妻については人並みの思い入れしかないのであまり興味はないところですが。


ところでこの人妻という言葉の圧倒的な男性視線っぷりは改めて考えてみると凄まじいものがある。
なにしろ人の妻。間男経験でもない限りそうそう思いつかない言葉だ。
もうこれは人の妻をどうこうしたいという欲求の結晶とも言うべき言葉ではないのだろうか。
今に放送委員会や上野某女史に狩られる言葉に違いない。
そもそも妻という言葉が非常に曖昧なものだから、ただ妻とだけ書いたところで誰の妻なのかさっぱりわからない。
となれば我が妻か人の妻しかないわけで、ただ妻とだけ言った場合は俺の嫁を、そして他人の妻を指す場合は人妻としようと自ずと決まりごとのようになっていったのだと邪推ができる。


そういえば稲妻という言葉はワイフと直接関係もないくせに妻という字の入った言葉である。
仮名を使うのが一般的でなかった時代に当て字としてこのような字を当てられたのかと思ったが、辞書を引いてみるとどうやら違うらしい。
稲妻が光ると豊作になるという迷信から、稲の配偶者として稲妻と呼ばれていたそうな。
豊作と言えば当然フェミニンなものであろうと思ったら、なるほど昔は稲夫と書いてイナヅマと読んでいたらしい。
そう、夫という字もまたツマと読んでいたのだ!
となれば人妻と対をなす存在は人夫であるべきだ!
他人の夫!女性からの欲望の視線を一心に受ける対象としての人夫!
僕も人夫になりたいぞ!!



にんぷ 1 【人夫】
(1)土木工事・荷役などの力仕事に従事する労働者。

(2)昔、公役に徴用された人民。 (三省堂 大辞林より)



はい、働きます。