愚考4 ー マルチタスク時代のアート

ちょっとかっこつけたタイトルつけてみたよ。
なんかちょっとした言説っぽく見えない?見えるよね?うん。




マルチタスクと脳の話をこないだチラリとネットで見てフムリと頷いてしまったわけなのです。


これね↓


ネット漬け生活で脳が「ポップコーン化」 専門家が警鐘 :
http://www.cnn.co.jp/tech/30003173.html



要約すると、パソコンやインターネットでマルチタスクをしていると、文脈や行間や人の顔色声色みたいなものを読み取る能力が下がるって感じ。


そういえば、確かに僕も感覚としては理解できる。
例えばちょっと気合の入った記事なんかをネットで見つけたときは他のタブを片づけてからちょっと居住まいを正して読んだりする。


読書や創作や思索に耽ってがっつり言葉と思考の世界に入ってこうとするときは、PCから離れて煙草を一服して、スイッチを切り替えるまでに少しの時間を使う。



なるほど、脳はこういうところでそれぞれ違う部位を使ってるのねって感じだった。





ところで先日、WOMBってクラブでやってるイベントに行ったんです。
どれくらいぶりだろう、クラブやライブハウスでのイベントはわりと久しぶりだったはず。


そしたらなんだか音に満ちたクラブという空間に自分が馴染んでいくのに少し時間がかかってることに気づいた。
ちょっと大袈裟に言うと、音の波を楽しみきれず、ひとつの大きな塊みたいに感じて、どこを見てどう体を動かしていいかわからないっていうか。


それからだんだんと自然に身体が動いてきて、耳が感覚のほとんどを占めるようになって、気づけば汗をかきながらふわふわとしてた。
おお、これあの読書前にひと息ついて切り替えてくときと似た感覚だぞ?って思った。


僕は暇があればiPhoneかPCをいじってダメマルチタスキングに生きてるので、まさに同じように脳が切り替わっていったんだと思う。




クラブってVJがいたり照明があったりこそすれ、基本は音だけを楽しむもんだよね。
同じように美術館とかも基本は目だけで絵画や彫刻を楽しむもの。


映画や演劇、その他の現代美術なんかはわりと五感の複数を使うものもあるけど、結構アートの類には五感のひとつだけしか使わないものもある。





もし自分が子どもの頃からマルチタスクに慣れすぎていて、それから美術館やクラブの楽しみを知る歳になったとしたらどうだっただろう。


もしかしたらひとつの感覚に集中することができず落ち着かなくて楽しめるようにならなかったかもしれない。
もしかしたらこれからの世代はマルチタスク世代で豊かな音や色彩の機微を読み切れず、それだけでは刺激不足で楽しめないのかもしれない。



もし、もしそうなら、これから美術館やクラブはどう変わってくるだろう。
若い人が来なくなる?それとも総合芸術のように五感をフルに使わせるような形式に変わっていく?


どちらもなんだか寂しく感じるけれど、なにか面白い変化になると期待したいものだと思った。
あんまり悲観的になっていてもしょうがないし、きっと僕の好きな静かで絵だけが飾ってある美術館や、音が全てを支配するクラブは当分なくならないのだから。