僕はワンピースで泣かない

少し前にワンピースを追いかけがてら読みなおした。
一応、ウォーター7編あたりまでは連載で読んでいたのだけど、 ジャンプそのものを読まなくなったのでそこで止まっていて、最近のワンピースめっちゃ面白いぜ的なことを友人から聞いたので改めて一から読んでみた。


やっぱり週刊ジャンプの看板としてこういう漫画が連載を続けてるってのはすごく大事なことだと思う。王道ってのは常にどこかでやってないと。
普通におもしろかったし、やっぱこれだよっていうような安心のできる爽快感があった。
発展途上なのかもしれないけど、タイマンだけじゃなくて合戦的なバトルシーンが描ける少年漫画は貴重だとも思う。(NARUTOはそこらへん下手くそでわりと残念)



ただ、ワンピースっていつもいつもキャラが感動したときに顔をぐしゃぐしゃにして泣くばかりなのが僕はあまり好きじゃない。
実際のところ、僕が顔をぐしゃぐしゃにして泣いた経験がほとんどないからかもしれないけど、あれを見てもなんかピンと来ない。
感情が昂ぶったとき、静かに涙を流すこともあれば、どんな顔をしていいのかわからず無表情になることもあるのに、いつも誰も顔ぐしゃぐしゃってのはなぁ。
僕は激しい感情も繊細な機微も何気なくそっと描いてみせる漫画が好きで、ワンピースにそれを求めるのは違うかもしれないけど、やっぱりワンピースはちょっとワンパターンすぎるかなって思う。



あとさ、いくらなんでも登場人物死ななさすぎ。
命の大切さだとか、命をかけた誇りみたいな話が多いくせに、ああまで死なないと少し薄っぺらく感じてしまう。
死ぬべきところできっちり死ぬからこそ、「お前が生きててよかった」的な台詞にも重みが出てくるものでしょう。生を描くってことは死を描くってことと表裏一体、と言えるだろうし。


ワンピースはすごくいい王道少年漫画なんだけど、それだけに感情表現とか生き死にみたいなところが甘いのが残念だ。
全年齢に受け入れられるように、と狙ってやってるんだとしたら、いっそのことDBや男塾みたいにえらくあっさり生き返ったりする方がいいな。
その辺りに関しては『からくりサーカス』は少年漫画しつつ真摯な姿勢でよかった。




蛇足


そういえば、僕の大好きな漫画『なるたる』はどこまでも死を描いている。噎せ返るほどの死の匂いから逆説的に生への強い憧れや執着を感じさせる。
それどのキャラのものとも言いがたくて、作者自身の生への執着が滲み出ているように感じる。


「ワンピースは死ななすぎ!安っぽい!」ってのに対して「ぼくらのは死にすぎで安っぽいんだよ」って言ってる人を見たことがあるけど、それは違うんじゃないって思ってちょっと書いた。



※このエントリは2013/1/24に加筆修正しました。